土木工事の施工計画書・安全書類をAIで作成!残業を減らす現実的な方法【建設業DX】

 

「今日も現場が終わってから、施工計画書の作成か……」

——そんなため息を漏らしている現場代理人の方は、決して少なくないはずです。
日中は安全管理や工程調整に追われ、事務所に戻れるのは夕方以降。そこから施工計画書や安全書類と向き合う日々は、公共工事に携わる土木会社にとって”あたりまえ”になっていないでしょうか?

国土交通省が推進する建設業DXの流れのなかで、いま注目されているのがAIを活用した書類作成の効率化です。「AIに書類を任せる」と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、実際にはもっと地に足のついた話です。

本テーマでは、施工計画書や安全書類の作成にAIをどう使えるのか、現場目線で具体的に解説します。


なぜ土木業界で書類作成が大きな負担になっているのか

◇公共工事で求められる書類の種類と量

公共工事では、着工前から完成検査まで膨大な書類が求められます。
施工計画書はもちろん、安全衛生管理計画書、危険予知(KY)活動記録、新規入場者教育記録、作業手順書、品質管理記録など、その種類は多岐にわたります。
工事規模にもよりますが、ひとつの現場で数十種類の書類を整備・更新し続ける必要があり、作成だけでなく発注者への提出・修正対応にも相当な時間がかかります。

◇現場代理人に集中する事務負担の実態

問題は、これらの書類作成が現場代理人に集中しやすい点です。
現場の状況を最もよく把握している人間が書くのが合理的ではあるものの、日中の現場管理と夜間の事務作業を一人で担う構造は、慢性的な長時間労働の温床になっています。
2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制を踏まえると、「書類のための残業」は経営上のリスクでもあります。


土木の書類作成にAIを活用するとは?具体的にできること

◇施工計画書の自動作成・たたき台生成

AIによる施工計画書作成とは、工事概要や施工条件を入力すると、AIがドラフト(たたき台)を生成してくれる仕組みです。
ゼロから文章を書き起こすのではなく、AIが出力した下書きを人間が確認・修正するワークフローに切り替えることで、作成時間を大幅に圧縮できます。
過去の類似工事の計画書をAIに読み込ませておけば、自社の書式や表現パターンを反映した出力も期待できます。

▼ プロンプト例(施工計画書のたたき台生成)

あなたは公共土木工事の施工管理に精通した技術者です。以下の工事概要をもとに、施工計画書の「工事概要」「施工方法」「安全管理」の章をドラフトしてください。箇条書きではなく、発注者提出用の文書体で記述してください。
【工事概要】(工事名・工期・施工場所・主要工種を記入)

◇安全書類の効率化——定型部分はAIに任せる

KY活動記録やリスクアセスメント、安全衛生日誌といった安全書類は、パターン化しやすい構造を持っています。
たとえばKY活動では、作業内容に応じた危険要因の洗い出しと対策の記述が主な作業ですが、こうした「条件→出力」型のタスクはAIが最も得意とする領域です。

書類の種類AIが得意な作業人間が担うべき作業
施工計画書文章ドラフト作成、過去計画書の要約・再構成現場固有条件の確認、最終承認
KY活動記録作業内容に応じた危険要因・対策の候補出力現場状況との照合、当日の追記
新規入場者教育資料定型項目の自動生成、現場ルールの文書化口頭説明、理解度の確認
安全衛生日誌定型フォーマットへの転記・整形実績値の入力、異常事項の記録

▼ プロンプト例(KY活動記録の危険要因リスト生成)

以下の作業内容について、想定される危険要因を5つ挙げ、それぞれの対策を1文で記述してください。出力は「危険要因|対策」の表形式でお願いします。
【作業内容】道路側溝の掘削工(バックホウ0.25m³使用、交通誘導員配置あり)

◇AIにできること・できないことの線引き

ここで強調しておきたいのは、AIは万能ではないという点です。
AIが得意なのは、定型文の生成、文章の整形、チェック項目の網羅的な洗い出しといった作業です。

一方で、現場固有の地質条件や近隣環境への配慮、発注者との協議内容の反映など、人間の判断が不可欠な領域はそのまま残ります
AIを「優秀なアシスタント」として位置づけ、最終判断は必ず人間が行う——この前提を崩さないことが、品質を担保するうえで重要です。


建設業DXとしてのAI書類作成——導入の3ステップ

ステップ1|まずは1種類の書類から試してみる

いきなり全書類をAI化しようとすると、現場が混乱します。
おすすめは、作成頻度が高く定型性の強い安全書類(KY活動記録など)から1種類だけ試すことです。
小さな成功体験を積むことで、現場スタッフの心理的なハードルも下がります。

ステップ2|自社の過去書類をAIに学習させる

汎用的なAI出力では、自社の書式や表現ルールに合わないことがあります。
過去の施工計画書や安全書類をAIに読み込ませることで、「自社らしい」文章が出力されるよう調整できます。
特にChatGPTやClaudeなどの生成AIでは、プロンプトに過去書類の一部を参考資料として添付するだけでも精度が大きく向上します。

ステップ3|チェック体制を整えて本格運用へ

AI出力をそのまま提出するのではなく、「AI作成→担当者レビュー→上長確認→提出」というワークフローを確立します。
これにより、AIの利便性を享受しつつ、書類の正確性と責任の所在を明確にできます。

▼ プロンプト例(過去書類を参考にした施工計画書の生成)

添付した過去の施工計画書(○○工事)の構成・文体を参考に、以下の新規工事の施工計画書ドラフトを作成してください。章立ては過去書類に準拠し、新規工事の条件に合わせて内容を書き換えてください。
【新規工事の概要】(工事名・工期・主要工種を記入)


AI導入で書類作成時間はどれくらい減る?導入効果のリアル

◇作成時間の短縮効果の目安

効果は書類の種類や導入の習熟度によって異なりますが、目安として以下のようなイメージを持っておくと現実的です。

書類の種類従来の作成時間(目安)AI活用後の作成時間(目安)短縮率
施工計画書(全体)8〜16時間3〜6時間約50〜60%
KY活動記録(1日分)20〜30分5〜10分約60〜75%
新規入場者教育資料2〜3時間30分〜1時間約60〜70%
安全衛生日誌(1日分)15〜20分5〜10分約50〜65%

※上記はAIの出力を人間がレビュー・修正する時間を含んだ概算値です。現場条件やAIツールの習熟度により変動します。

◇残業削減だけじゃない——現場品質向上への波及効果

書類作成の負担が軽くなると、現場代理人が本来注力すべき施工管理や安全巡視に時間を振り向けられるようになります。
さらに、AIによるチェックで記載漏れやフォーマットの不統一が減り、書類品質そのものが安定するケースも少なくありません。
若手社員にとっては、AIが出力した文章を「お手本」として学べるという教育的な側面もあります。


「うちみたいな小さい会社でもできる?」よくある疑問に回答

◇ITに詳しいスタッフがいなくても大丈夫?

ChatGPTやClaudeといった生成AIツールは、ブラウザ上で日本語の指示を入力するだけで使えます。プログラミングの知識は不要です。
とはいえ、「どう指示を出せば良い文章が返ってくるか」にはコツがあるため、初期段階では外部の導入支援サービスを活用するのもひとつの手です。

◇費用はどのくらいかかる?

ChatGPTの有料プランは月額3,000円程度から利用可能です。
まずは無料プランで試し、効果を確認してから有料プランに移行するのが合理的でしょう。
専門的な導入支援を外部に依頼する場合は、月額数万円〜が相場ですが、削減できる残業代や人件費を考えれば十分に投資対効果が見込める範囲です。

◇発注者(官公庁)に提出して問題ないのか?

AIで作成したこと自体が問題になるわけではありません。
重要なのは、記載内容の正確性と、責任者による確認・承認が適切に行われているかどうかです。
AIはあくまで作成の補助手段であり、最終的な責任は作成者および監理技術者にあるという原則は変わりません。この点を社内で共有しておけば、発注者への説明にも困ることはないでしょう。


さいごに

施工計画書や安全書類のAI活用は、「すべてを機械に任せる」という話ではありません。
AIにたたき台を作らせ、人間が仕上げる——このシンプルなアプローチだけで、書類作成にかかる時間と労力は大きく変わります。
建設業DXの第一歩として、書類作成の効率化は最もハードルが低く、効果を実感しやすい領域です。

まずは1つの書類から、試してみませんか?
弊社 ケアオフィスリンク株式会社では、土木会社様をはじめとした中小企業向けに、生成AIの導入・活用支援を行っております。
「何から始めればいいかわからない」という段階から伴走いたしますので、ご関心をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。

 

2026年2月9日 カテゴリー: AI

 

 

 

 

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